ソマティックな心理セラピー

ソマティックとは「身体の」という意味の英語です。

身体と感情はつながっている

日本語から見た感情と身体の関係

日本語には感情を体を使って表現する言葉が多くあります。
例えば、怒りを表すときに「腹が立つ」「頭に血が上る」「はらわたが煮えくりかえる」、喜びの表現に「胸がおどる」、気持ちが沈んだ時には「足が重い」「体が重い」などなど。

気持ちなどの心理状態と身体が密接に結びついていることが分かると思います。緊張した時には、身体にグッと力が入ったり、心臓がドキドキする経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

脳科学研究

最近の脳科学研究では、身体の感覚を感じる脳の部分と、感情を感じる脳の部分は同じ領域にあることがわかってきています。そういう研究結果をもとに、医学的な治療への応用が試みられている様子がNHKのテレビ番組で紹介されています。

心理セラピーと身体

ソマティックな心理セラピーでは、身体と心のつながりに注目して、身体に直接働きかけることを通して心の問題にアプローチしたり、身体の感覚を感じることを入口にして心の奥を探っていく方法、身体に意識を向けて身体が動きたがっている動きをすることを通してトラウマの解放につなげていく方法など、いろいろなものがあります。

身体で起こっていることは自律神経を通して脳に情報が伝わります。その自律神経の働きが何らかの理由でうまく働かないと、自律神経失調症という症状につながったりします。

自律神経系の働きを調整するのことも、身体感覚を利用することで可能になります。

ソマティックな心理セラピーの効果

ソマティックな心理セラピーは心と身体の両面からアプローチするため、言語レベルだけのアプローチより早い効果が期待できます。言語に頼らないセッションができるので、言葉を獲得するよりも前の幼少期に受けたトラウマにも対応できます。誰にも話したくないことで苦しんでいる場合でも、話したくないことは話さなくてセッションをすることができます。

日本におけるソマティックな心理セラピー

ただ、日本ではソマティックな心理セラピーはあまり普及していません。その理由は大学の心理学の課程でほとんど習わない(教えられる先生も限られている)ことと、実際にセッションができるようになるためのトレーニングに時間がかかるからだと思います。

ソマティックな心理セラピーの実際

トラウマ症状で困っている方の場合は、身体感覚を感じないことで自分を守っている側面があるので、身体感覚を感じても大丈夫だと実感してもらいながら、少しずつ身体感覚を取り戻す取組みをしていきます。そうすることでトラウマ症状が減っていき、楽になっていきます。身体感覚を安心して感じられる土台を作った上で、トラウマ自体と取組み、トラウマを解放していくという流れになります。

深刻な症状はなく、自分の生き方の癖を変えたいとか、自己成長のために自分について掘り下げたい、対人支援の仕事をしていてもっと効果的な支援ができるようになりたいといった場合は、身体感覚を感じながら内面を観察していくことで、色々な気づきを得たり、思いもよらない自分に出会うこともあります。

人生を生き抜くために使ってきたその人独自のパターンに気づき、それ以外の選択肢を広げることで日常生活にゆとりを持てるようになります。

ソマティックな心理セラピーのすすめ

心理セラピーについては実際に体験してみると、どういうものなのかがよくわかります。

セラピストはガイド役をするのですが、相談に来られた方が深い気づきを得たり元気になっていかれる姿を見て、私自身が感動することもしばしばあります。ソマティックな心理セラピーに興味をもたれたら、ぜひ体験してみてください。