「引きこもり」について

一般的に「引きこもり」という言葉で表されているものに中には色々なものが含まれています。


精神疾患があって他人と会うのが辛かったり、妄想のために外の世界は恐ろしいと感じて外出できなかったり、コミュニケーションが下手なために誤解されることが多すぎて人と話すのが嫌になったり、対人関係で深く傷つき人が信用できなくなっていたり、人によって理由が違っていても「引きこもり」のひとことでくくられていることがあります。

また、引きこもりの程度も人それぞれです。

例えば、“仕事はできないが趣味の活動はできる”とか“社会的な交流は無いが、外出はできる”、“他人との接触はコンビニ程度、人のいない時間帯に外出する”さらに、“家から外には出ない、外出は車でしかできない”、“ほぼ自室で過ごし、家族との交流も最小限”などなど。

引きこもっている人を理解するために

その方の「引きこもり」について理解するために、いつから引きこもっているのか、引き金になった出来事があるのか、引きこもりの程度に変化はあるのかといったことも大切な情報になります。

引きこもりの背景に何があるのかで対応方法、変化への道筋が変わってくる部分があります。

学校時代からいじめが原因での不登校があり、大人になっても「引きこもり」が続いている人と、バリバリ仕事をしていたが過重労働でうつ病になった人の「引きこもり」が違うのは感覚的に理解できるかと思います。

「引きこもり」という言葉でひとくくりにしている状況の中身は千差万別なので、「引きこもりで困っています」という相談では、その中身を詳しく見て、引きこもらざるを得ない状況を理解しようという視点で相談にのっています。

精神的な病気・障がいと引きこもり

統合失調症やうつ病のように、病気のために引きこもっている場合は、治療することで引きこもりの状態がなくなっていくことは十分考えられます。

発達障害のために対人関係で誤解を受けやすく、周りに理解してもらえないことで次第に引きこもっている場合は、そういう状況で困っていることを周りが理解することが第一歩になります。自分を理解してくれる人には、安心して心を開き、必要なサポートを得ながら力を発揮することができる方はたくさんおられます。

実際の相談で困った事例

引きこもりの状態にある人の相談では次のような場合もあります。仕事をしていないことをご家族が問題だと考え、「仕事に行ってくれたらいい、そのための就労支援をしてほしい」と訴えてこられるご相談です。そういうご家族にありがちなのは、引きこもっている方とのコミュニケーションが全くと言っていいほど取れておらず、引きこもり状態になっている背景が分からないということです。

「昔はちゃんと仕事に行ってたんです」と言われるのですが、どういう経緯で今に至ったのか、引きこもっている方がどんな思いで日々過ごしているのか分かりません。就労支援以前の問題が家族の中にありそうに感じますが、そこにはご家族の目が全く向いていないため、解決の糸口を掴むのに苦労しますし、ご家族が望んでいる解決がすぐに出来るわけではありません。すぐになんとかして欲しいという気持ちが強いご家族には、“相談したけど何もしてもらえなかった”という思いで帰られることもありました。

「引きこもり」の支援で大切なこと

「引きこもり」の背景がどんなものであっても、身近な方が引きこもっている方を“引きこもっている立場から”理解して、安心できる関係性を築くことが大切です。人が前向きに変化し成長するための土台になるからです。

その上で必要な支援をしていくことで「引きこもり」から「その人らしさを発揮する」へと変化していけるものです。必要な支援が何かを見つけるために、専門家と呼ばれるような人や相談機関に相談するのが近道になるかもしれません。