バウンダリー(他人との境界線)について
バウンダリーとは「境界」「限度」といった意味の英語です。
パーソナルスペースという言葉は聞いたことがあるかもしれませんね。パーソナルスペースは空間的なバウンダリーと言い換えてもいいでしょう。
心理的なバウンダリーは「自分と他人の心の境界線」という意味で使い、人間関係を理解する時に大切な考え方の一つになっています。
バウンダリー(境界線)があるからこそ、自分という存在がはっきりします。
人はそれぞれの人生を送る中で、その人特有のバウンダリーを培ってきています。人懐こくて誰とでもすぐ打ち解ける人もいれば、最初は無愛想のようでも付き合っていくうちにその人の良さが滲み出るような人もいます。どちらがいいとか悪いとかではなく、その人らしさと言っていいでしょう。
それぞれの人にその人なりのバウンダリーがあって、人はつながっています。
自分のバウンダリーのスタイルに気づくことで、人間関係を考えるときに役に立ちます。
良好なバウンダリー
安全で柔軟なバウンダリーを持った人同士であれば、人間関係で悩むことはないでしょう。
バウンダリーは相手によって遠くなったり近くなったりしますし、その時の状況によっても変化します。
TPOに応じて適切に他人との距離が取れる人は、安全で柔軟なバウンダリーを持っていると言えるでしょう。
制限的なバウンダリーのスタイル
人間関係で悩んだり、しんどくなるような場合には、自分や相手が制限的なバウンダリーのスタイルを持っているかもしれません。
- 過度に強いバウンダリー
いろいろな場面で自動的に『NO』と反応してしまうスタイル - 過度に柔軟なバウンダリー
いろいろな場面で自動的に『YES』と反応してしまうスタイル - 振り子のバウンダリー
①と②を行ったり来たりするスタイル - 傷ついたバウンダリー
通常は良好だが、特有の状況で①や②になるスタイル
良い人間関係を作っていくために
バウンダリーは強すぎると人との関係が作りにくいですし、逆に柔軟すぎるとどんどん仕事を押し付けられたりして消耗してしまいます。他人に対して『NO』と言いにくいと嫌なことを断りきれず、しんどい思いをすることになりがちです。
バウンダリーについて興味がわけば、自分はどちらかというとバウンダリーが強い方かなとか、柔軟すぎる方かな、と考えてみてはどうでしょうか。自分のスタイル・傾向に気づいて、自分を知ることは大切です。
自分の傾向が分かれば、次は勇気を持って『YES』や『NO』を相手に伝えてみて相手の反応を観察してみましょう。
案外すんなりと「よかった、ありがとう!」とか「そう、じゃあまた次お願いするね!」という反応が返ってくるかもしれません。
自動的に反応してしまうのはどういうことなんだろう?と自分について興味が湧いた時は、カウンセリングや心理セラピーを受けて自己探求するのも楽しいかもしれません。